なめらかな曲線の接線は、微分によって初めて正しく定義できる。
(接線を求める式に重根が含まれるとは限らない。)
【研究問題】円の接線の公式は既に学習していると思いますが、
接線は、微分によって初めて正しく定義できるので、
改めて、円の接線の公式を微分により導いてみます。
円 x2+y2=1 (式1)
この円の式全体を微分します。
その微分の際に、
微分の基本公式 (f・g)’=f’・g+f・g’
を使います。
x’・x+x・x’+y’・y+y・y’=1’
x’=1で、1’=0だから、
2x+2y・y’=0 (式2)
接点(x,y)での接線の傾きy’は、
(yが0で無い場合は)
式2を変形した以下の式であらわせます。
y’=-x/y (式3)
接点を(a,b)とすると、式3は以下の式になります。
y’=-a/b
接線の式は、
y-b=y’(x-a)
y-b=(-a/b)(x-a)
b(y-b)=-a(x-a)
b(y-b)+a(x-a)=0
by+ax=a2+b2
点(a,b)は式1を満足するので、
a2+b2=1
∴ by+ax=1
この、円の接線の公式は既に学んでいる接線の式です。
【研究問題その2】
楕円の式は高校3年の数学ⅢCで学びますが、高校2年でも、その式だけは覚えていても良いと思います。
楕円 x2/a2+y2/b2=1 (式1)
です。
この楕円の接線の公式は、微分により導けます。
この楕円の式全体を微分します。
その微分の際に、
微分の基本公式 (f・g)’=f’・g+f・g’
を使います。
(x’・x+x・x’)/a2+(y’・y+y・y’)/b2=1’
x’=1で、1’=0だから、
2x/a2+2y・y’/b2=0 (式2)
接点(x,y)での接線の傾きy’は、
(yが0で無い場合は)
式2を変形した以下の式であらわせます。
y’=-x・b2/(y・a2) (式3)
接点を(α,β)とすると、式3は以下の式になります。
y’=-α・b2/(β・a2)
接線の式は、
y-β=y’(x-α)
y-β=(-α・b2/(β・a2))(x-α)
β(y-β)/b2=-α(x-α)/a2
β(y-β)/b2+α(x-α)/a2=0
βy/b2+αx/a2=(α/a)2+(β/b)2
点(α,β)は式1を満足するので、
(α/a)2+(β/b)2=1
∴ βy/b2+αx/a2=1
こうして、楕円の接線の公式が得られました。
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