2つの放物線の共通接線

佐藤の数学教科書「微分」編の勉強

 

なめらかな曲線の接線は、微分によって初めて正しく定義できる。

(接線を求める式に重根が含まれるとは限らない。)

 

【問1】2つの放物線

y= x (式1)

y=-(x-2) (式2)

の共通接線の方程式を求めよ。

 

(解答の方針)

式1の接点A(a,b)での接線の式をあらわし、

式2の接点C(c,d)での接線の式をあらわし、

それらの接線の式が等しいとする方程式を書いて、

その方程式を解けば良い。

 

ただし、その方程式を解く過程で計算間違いをすると正しい答えが出ない。

そのため、計算間違いを少なくする問題の解き方を工夫する。

 

(解答)

y= x (式1)

y=-(x-2) (式2)

 

(1)

式1を微分して式1のグラフの傾きを求める。

y’=2x (式3)

接点A(a,)での式1の接線の式は

傾きy’=2a

だから、以下の式になる。

y-a=y’(x-a) 

y-a=2a(x-a) (式4)

 

(2)

式2を微分して式2のグラフの傾きを求める。

y’=-2(x-2) (式5)

接点C(c,-(c-2))での式2の接線の式は

傾きy’=-2(c-2)

 だから、以下の式になる。

y+(c-2)=y’(x-c)

y+(c-2)=-2(c-2)(x-c)

この式を、

c-2=e (式6)

とおいて、以下のように単純な式であらわす。

y+e=-2e(x-c) (式7)

このように単純な形に式をあらわすことで、計算が簡単になり、計算間違いを少なくすることができる。

式7に残っているcもeにおきかえる。

y+e=-2e(x-e-2) (式8)

 

(3)

接線の式8と4の傾きが等しい条件式を求める。

-2e=2a

e=-a (式9)

(4)

式4と式8のそれ以外の項も等しくなる条件式を求める。

+2e(-e-2)=-a+2a・a

-e-4e=a

式9を代入してeをaにおきかえる。

-a+4a=a

-2a+4a=0

a(a-2)=0

a=0 (式10)

or

a=2 (式11)

 

(5)式10の場合:

a=0 (式10)

式10を式4に代入。

y=0 (式12)

 

(6)式11の場合:

a=2 (式11)

式11を式4に代入。

y-4=4(x-2)

y=4x-4 (式13)

 

以上の結果、式1と2の放物線の共通接線の方程式は、

y=0 (式12)

と、

y=4x-4 (式13)

である。

(解答おわり)

 

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