交差する直線の連立方程式の変換

佐藤の数学教科書「図形と方程式」編の勉強

 

【問1】2つの直線の交点を与える連立方程式として、

(直線1) 3x-2y=3 (式1)

(直線2) x-4y=-4 (式2)

がある。この2つの直線の式の連立方程式の解は、直線の交点の座標K(x,y)を与える。

 

この式1と式2と同じ解を与える以下の形の連立方程式を作れ。

(直線3) x-y=a (式3)

(直線4) x+y=b (式4)

 

 

(解答と解説)

この問題は、式1と式2の解を、別の方程式を使って求める問題です。

 

(計算方針)

m(式1)+n(式2)を計算することで、直線3と直線4の式を求める。

 

計算の見通しを良くするために、式にmを掛け算してm倍になる項を全て左辺に集めた式に整えて計算する。

(直線1) 3x-2y-3=0 (式1’)

(直線2) x-4y+4=0 (式2’)

(直線3) x-y-a=0 (式3’)

(直線4) x+y-b=0 (式4’)

 

(直線3の式の計算)

先ず、m(式1’)+n(式2’)を計算することで、直線3の式を求める。

m(3x-2y-3)+n(x-4y+4)=0 (式5)

この式5を、式3’と等しくなるように、mとnの値を決める。

式5と式3’を比較し易いように、式5を変形する。

(3m+n)x+(-2m-4n)y+(-3m+4n)=0 (式5’)

一方式3’は以下の式である。

x-y-a=0 (式3’)

式5’が式3’と等しいためには、

3m+n=1    (式6)

-2m-4n=-1 (式7)

 4(式6)+(式7)を計算してnを消去する。

12m-2m=4-1

10m=3

m=3/10 (式8)

 

2(式6)+3(式7)を計算してmを消去する。

2n-12n=2-3

-10n=-1

n=1/10 (式9)

 

式8と式9を式5’に代入する。

x-y+(-9+4)/10=0

x-y-5/10=0

x-y-1/2=0

この式が、求める直線3の式3’である。

 

(注意)この式は、式1’と式2’を加えて得た式5’であるので、式1と式2の直線の交点Kを通る。

 

(直線4の式の計算)

(3m+n)x+(-2m-4n)y+(-3m+4n)=0 (式5’)
以下の計算では、式5’のmとnを直線4を求めるために定め、先に直線3を求めるときに定めた値とは別の値のmとnを定める。

一方式4’は以下の式である。

x+y-b=0 (式4’)

式5’が式4’と等しいためには、

3m+n=1    (式10)

-2m-4n=1  (式11)

4(式10)+(式11)を計算してnを消去する。

12m-2m=4+1

10m=5

m=5/10=1/2 (式12)

 

2(式10)+3(式11)を計算してmを消去する。

2n-12n=2+3

-10n=5

n=-5/10=-1/2 (式13)

 

式12と式13を式5’に代入する。

x+y+(-3-4)/2=0

x+y-7/2=0

この式が、求める直線4の式4’である。

 

(注意)この式は、式1’と式2’を加えて得た式5’であるので、式1と式2の直線の交点Kを通る。
 

以上の計算で得た以下の式の連立方程式は(式1)と(式2)の連立方程式を変形して求めたので、元の式1と式2の連立方程式と同じ解を与える。

(直線3) x-y-1/2=0 (式3’)

(直線4) x+y-7/2=0 (式4’)

すなわち、上の式の直線3と直線4の交点は、直線1と直線2の交点Kと同じ点である。

 

リンク:

ベクトルの合成の公式と分解の公式と連立方程式の解

連立方程式をベクトルの内積を使って解釈する

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