2円の交点を通る直線と円

佐藤の数学教科書「図形と方程式」編の勉強

 

【問1】2つの円、

(円1) (x-3)+(y-2)=3 (式1)

(円2) (x-1)+(y-1)=4 (式2)

がある。この2つの円の2つの交点AとBを通る(直線3)と、座標原点(0,0)を通る(円4)との式を求めよ。

 

 

この問題の円の(式1)と(式2)の連立方程式の解が交点AとBの座標になる。

 

この連立方程式と同じ解の交点AとBの座標を与える別の連立方程式(一方は直線の式で、もう一方は円の式)を求める問題です。

 

(解答と解説)

この問題は、式1と式2の解を、別の方程式を使って求める問題です。

その解を与える以下の形の連立方程式を作る問題です。

(直線3) ax+by=c (式3)

(円4) x+y+dx+ey=f (式4)

ただし、式4は座標原点(x,y)=(0,0)を通るので、それを代入して、

0+0+0+0=f の式を満足しなければならない。

そのため、f=0である。よって、式4は以下の式になる。

(円4) x+y+dx+ey=0 (式5)

 

よって、求める連立方程式は、以下の形の式です。

(直線3) ax+by=c (式3)

(円4) x+y+dx+ey=0 (式5)

 

(計算方針)

m(式1)+n(式2)を計算することで、直線3の式を求め、同様にして円4の式を求める。

 

計算の見通しを良くするために、式にmを掛け算してm倍になる項を全て左辺に集めた式に整えて計算する。

(円1) (x-3)+(y-2)-3=0 (式1’)

-6x+9+y-4y+4-3=0

+y-6x-4y+10=0 (式6)

 

(円2) (x-1)+(y-1)-4=0 (式2’)

-2x+1+y-2y+1-4=0

+y-2x-2y-2=0 (式7)

 

(直線3の式の計算)

先ず、m(式6)+n(式7)を計算することで、直線3の式を求める。

m(x+y-6x-4y+10)

+n(x+y-2x-2y-2)=0 (式8)

この式8を、式3と等しくなるように、mとnの値を決める。

式8と式3を比較し易いように、式8を変形する。

(m+n)x+(m+n)y

+(-6m-2n)x+(-4m-2n)y+(10m-2n)

=0 (式9)

一方の直線の式3には、xの項やyの項が無いので、上の式もそれらの項の係数が0でなければならない。

 

(詳しくは、以下のように考える)

式9が式3と等しいためには、両式の各係数が等しくなければならない。

         <式9> <式3>

の係数: (m+n)  =0 (式10)

の係数: (m+n)  =0 (式10と同じ)

xの係数: (-6m-2n)=a

yの係数: (-4m-2n)=b

定数項の係数: (10m-2n)=-c

 

式10以外の式は未知数a,b,cを定める式であって、mとnを限定する式ではないので、mとnを限定するのは式10のみ。

 

 

よって、

m+n=0 (式10)

この式10の条件を満たすmとnのどの組合せでも良い。

とりあえず、m=1、n=-1に決める。

その場合は、式9は、以下の式になる。

(-6+2)x+(-4+2)y+(10+2)=0

-4x-2y+12=0

(-2)で式全体を割り算する。

2x+y-6=0 (式11)

この式11が求める式3の形(を変形した形)の具体的式である。

 

(注意)この式は、式6と式7を加えて得た式9であるので、式1と式2の円の2つの交点AとBを通る。

 

(円4の式の計算)

(m+n)x+(m+n)y

+(-6m-2n)x+(-4m-2n)y+(10m-2n)

=0 (式9)

 

以下の計算では、式9のmとnを、円4を求めるために定め、先に直線3を求めるときに定めた値とは別の値のmとnを定める。

 

円4の式5は以下の式である。

(円4) x+y+dx+ey=0 (式5)

式9が式5と等しいためには、両式の各係数が等しくなければならない。

の係数: (m+n)=1 (式12)

の係数: (m+n)=1 (式13)

xの係数: (-6m-2n)=d (式14)

yの係数: (-4m-2n)=e (式15)

定数項の係数: (10m-2n)=0 (式16)

 

式14と式15は未知数dとeを定める式なので、mとnを限定する式では無いので無視して良い。

それ以外の式は、式12(式13と同じ)と式16だけである。

(m+n)=1 (式12)

(10m-2n)=0 (式16)

この式12と式16を連立してmとnを定める。

 

2(式12)+(式16)を計算することでnを消去した式を作る。

2m+10m=2

m=2/12=1/6 (式17)

 

10(式12)-(式16)を計算することでmを消去した式を作る。

10n+2n=10

n=10/12=5/6 (式18)

 

式17と式18を式9に代入する。

(m+n)x+(m+n)y

+(-6m-2n)x+(-4m-2n)y+(10m-2n)

=0 (式9)

((1/6)+(5/6))x+((1/6)+(5/6))y

+(-(6/6)-(10/6))x+(-(4/6)-(10/6))y+((10/6)-(10/6))=0

+y-(16/6)x-(14/6)y=0

+y-(8/3)x-(7/3)y=0 (式19)

この式が、求める円4の式5である。

 

(注意)この式は、式6と式7を加えて得た式9であるので、式1と式2の円の2つの交点AとBを通る。

 

以上の計算で得た以下の式の連立方程式は(式1)と(式2)の連立方程式を変形して求めたので、元の式1と式2の連立方程式と同じ解を与える。

 (直線3) 2x+y-6=0 (式11)

(円4) x+y-(8/3)x-(7/3)y=0 (式19)

すなわち、上の式の直線3と円4の2つの交点は、円1と円2の交点AとBである。

 

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