加法定理(等式の証明(4))正弦定理と余弦定理

佐藤の数学教科書「三角関数」編の勉強

 

【蛇足問題】∠Aと∠Bと∠Cの間に、

∠A+∠B+∠C=π (式1)

の関係があり、

ある長さa,b,c,dとの間に、

sinA/a=sinB/b=sinC/c=1/d (式2)

の関係が成り立つ時、

+c-a=2bc・cosA (式3)

が成り立つことを証明せよ。ただし、余弦定理は証明に利用しないこと。

 

(注意1)数学の証明に「ある定理を使うな」というように、自由に思考させずに、思考過程に制限を加えるというのは、数学する心(自由に解く)に反する思想であるので、

こういう限定をして出題するというのは、問題がある。

そのため、この問題は、蛇足の問題です。

 

こういう問題が出題されたら、思考制限規定を無視して、解いても良いと思います。

 

(証明開始)

この問題の式2は三角形の正弦定理にあてはまります。そのような辺a,b,cと頂点の∠A,∠B,∠Cを持ち、直径dの円に内接する三角形が存在し、その三角形に対して式2の正弦定理が成り立ちます。

そして、その三角形については、式3の余弦定理が成り立ちます。よって、式3は成り立つ。

(証明おわり)

 と解答して良いと思います。

 

この問題は蛇足問題ではありますが、テストの出題というのでは無く、式の証明を研究するために、以下のように加法定理を利用して解いてみたいと思います。

 

(注意2)この問題は、たしかに解けますが、だからと言って、正弦定理と加法定理さえあれば余弦定理はいらないなどという誤解はしないで欲しい。

むしろ、その逆で、

加法定理を使って遠回りしてかろうじて問題を解く道があれば、必ず、「正弦定理と余弦定理を使って近道して問題を解く道がある」ということが示されていると解釈して欲しい。

 

それでは、遠回りした道を通る証明になりますが、

この問題を、出題の意図通りに、正弦定理と加法定理を使って、余弦定理を導く解答の道のりを以下で説明します。

 

(予備知識:問題をより易しい問題に変換してから解くこと)

証明すべき対象の

+c-a=2bc・cosA (式3)

を、式2を変換して式3を導出しようとはせずに、

先ずは、この式3を、わかる限り、問題をかみくだいてやさしい問題に変換します。

 

(解答開始)

式3の左辺を、式2を使って変換する。

式1を使って∠Aを消去する。

加法定理を使ってsin(B+C)を展開する。

(cosの加法定理を使って、sinBsinC-cosCcosB=-cos(B+C)にまとめる)

(式2を使って変換する)

=2bc{cos(A)}

∴ b+c-a=2bc・cosA

(証明おわり)

 

リンク:

高校数学の目次